この記事は、電子書籍「SharePoint Lists活用術」の貸出管理システムとは別の仕組みになります。
本の紹介
【貸出管理システムについて】
Outlookの予定表を使って備品を管理している人は、予約だけで終わっていませんか?有料の貸出管理システムを導入するほど貸出点数が多くない会社の備品などを社内で貸出と返却を管理することができます。QRコードを貸出品に貼ってスマートフォンで貸出返却処理をすることができます。メール通知機能がついているので、返却忘れ防止になります。
本記事の内容
- SharePoint備品管理の仕組み
- SharePointリストを作成
- Power Automateで自動化
この記事を書いた人
この記事を書いている私は、手順通りにMicrosoft365のアプリケーションを覚えることができる電子書籍をKindle出版しています。
SharePoint備品管理の仕組み
スマートフォンアプリのListsを使えばQRコード付きの貸出管理システムが簡単に作れます。
備品管理に使うアプリケーションは、3つです。
- SharePoint(リスト)
- Power Automate(自動フロー)
- Lists(スマートフォンアプリ)
備品にQRコードを貼っておけば、スマートフォンで貸出返却の処理ができます。
備品リスト
SharePointリストのギャラリーで誰が借りているかアイコンで表示することができます。
画像をつけることで自分が借りたい備品を確認できます。
このリストで貸出、返却をする自動化もできますが、処理が重なることを考えると備品にQRコードを貼って貸出返却する方法がベストです。
自動化
Microsoft365のアプリケーションは自動化出来るものばかりです。
プログラミングの知識が無くても文字を組み合わせるように自動化出来ます。
自動化しているのは、スマートフォンでQRコードを読んでListsに追加した後の処理です。
貸出の時は、備品リストのステータスを貸出にして貸出者の記録をします。
返却の時は、備品リストのステータスを返却にして返却者の記録をします。
※これだけだと実際は、使い勝手が悪いので細かな処理を入れています。
Listsアプリ
最近リリースされたListアプリには、バーコードを読むリーダー機能があります。
Power Appsを使わなくても簡単にスマートフォンをリーダーとして使うことが出来ます。
お気に入りにリストを追加しておくだけでアプリを開いてすぐ使うことができます。
SharePointリストの作成手順
備品リストと貸出返却リーダーの2つのリストを作成します。
SharePoint備品リストを作成
step
1SharePointを開く
①SharePointのホームにある左上の「+新規」→「リスト」→「空白のリスト」をクリック。
②名前に『備品リスト』を入力し、「作成」をクリック。
step
2列の追加
③タイトルを選択し、「列の設定」→「名前の変更」をクリックし、『備品名』に変更。
④列の追加で下記のように作成する。
ステータス:選択肢(貸出、返却)
LendUser:その他のユーザーまたはグループ(ユーザーのみ)
貸出日時:日付と時刻(時間を含める)
ReturnUser:その他のユーザーまたはグループ(ユーザーのみ)
返却日時:日付と時刻(時間を含める)
画像:画像
※LendUserとReturnUserは、日本語の場合フローでエラーになるので、最初は英語でスペースを入れずに入力します。
※フローでステータスなどを変更するので、すべて任意にしてください。
step
3タイトルの必須を解除
タイトル名を変更したら必須を解除して、Titleを『備品名』に変更します。
⑤右上の「歯車のマーク」→「リストの設定」→列の「Title」をクリック。
⑥列名『備品名』、この列への情報の入力を必須にする「いいえ」→「OK」をクリック。
SharePoint貸出返却リーダーを作成
step
1SharePointを開く
①SharePointのホームにある左上の「+新規」→「リスト」→「空白のリスト」をクリック。
②名前に『貸出返却リーダー』を入力し、「作成」をクリック。
step
2列の追加
備品名がQRコードになる部分です。
③タイトルを選択し、「列の設定」→「名前の変更」をクリックし、『備品名』に変更。
④列の追加で下記のように作成する。
処理:選択肢(貸出、返却)
※処理は、必須にする。
step
3ビューの編集
登録者、登録日時を表示して自分が何をいつ借りたか表示する。
⑤右上の「すべてのアイテム」→「現在のビューの編集」をクリック。
⑥「登録者」「登録日時」をチェック。
⑦フィルターの「次の条件に該当する場合だけをアイテムに表示する」にチェック。
⑧アイテムを表示する列の条件を「処理」「次の値に等しい」『貸出』と入力し、「OK」。
step
4返却ビューの追加
返却がわかるようにビューを作成する。
⑨右上の「すべてのアイテム」→「ビューに名前をつけて保存」をクリック。
⑩[すべてのアイテム]を『返却』に変更し、「保存」をクリック。
※これをパブリックビューにするのチェックは、つけたままにします。
⑪貸出のフィルターと同じ様に「現在のビューの編集」で「返却」だけ表示するようにする。
step
6タイトル名を変更
Titleを『備品名』に変更します。
⑫右上の「歯車のマーク」→「リストの設定」→列の「Title」をクリック。
⑬列名『備品名』→「OK」をクリック。
※必須のままにします。
Power Automateで自動化の手順
貸出返却リーダーのリストに新規追加した時に実行されるフローを作成します。
分かりやすいように備品名をQRコードにします。
テキストをQRコードにする場合は、下記サイトを活用して下さい。
QRコードが印刷できるラベルプリンターは、必要です。
パソコンに接続できて自由にデザインできるタイプを選びましょう。
このフローは、見ながら作成するとができます。
使うトリガー、アクション
- SharePoint:項目が作成されたとき(トリガー)
- SharePoint:複数の項目の取得
- 変数:変数を初期化する、変数の設定
- コントロール:条件
- SharePoint:項目の更新
- SharePoint:SharePointにHTTP要求を送信します
- SharePoint:アイテムまたはファイルの共有を停止します
- SharePoint:アイテムまたはフォルダーへのアクセス権の付与
- SharePoint:項目の削除
組み合わせるとフォーム送信後に表示せずにOutlookでメール送信もできます。いろんなコネクターがあるので関連の記事をご覧ください。
-
Power Automateよく使うトリガー、アクション一覧表
続きを見る
Power Automate備品貸出返却フローを作成
step
1Power Automateを開く
①Power Automateを開き、「+作成」→「自動化したクラウドフロー」をクリック。
②フロー名に『備品貸出返却フロー』と入力し、「新しい応答が送信されるとき」→「作成」をクリック。
step
2トリガーの設定
③サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「貸出返却リーダー」を設定。
step
3備品リストの取得
備品リストから貸出返却リーダーで貸出処理した備品名の情報を取得します。
④「+新しいステップ」でSharePointの「複数の項目の取得」を追加。
⑤サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「備品リスト」を設定。
⑥「詳細オプションを表示する」→フィルタークエリに『Title eq '備品名'』を設定。
※備品名は、[項目が作成されたとき]から選択します。
step
4変数の設定
SharePointにHTTP要求を送信しますのアクションに使う変数を設定します。
⑦「+新しいステップ」で変数の「変数を初期化する」と「変数の設定」を順番に追加。
⑧変数を初期化するの名前に『リスト名』、種類「文字列」を設定。
⑨変数の設定の名前に「リスト名」、値に『備品リスト』を入力。
step
5条件の追加
条件で備品リストが返却の場合は、貸出処理、貸出の場合は、返却処理をします。
⑩「+新しいステップ」でコントロールの「条件」を追加。
⑪左側の値の設定に[複数の項目の取得]から「ステータスValue」、右側の値の選択に『返却』を入力。
※真ん中は、「次の値に等しい」のままにします。
※ループ処理でApply to eachが自動で追加になります。
step
6はいの場合の項目の更新
貸出処理は、備品リストのステータスを貸出にして誰が貸しているか登録します。
この時、返却者と返却日時を空白にします。(返却者は、nullで空白にならないので、次のアクションで削除します。)
⑫はいの場合の「アクションの追加」でSharePointの「項目の更新」を追加。
⑬サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「備品リスト」を設定。
⑭IDに[複数の項目の取得]の「ID」、ステータスValue「貸出」を設定。
⑮貸出者Claimsに[項目が作成されたとき]の「登録者Email」、貸出日時に[項目が作成されたとき]の「登録日時」を設定。
⑯返却日時に式で『null』を入力。
※式は、動的なコンテンツの隣にあります。
step
7返却者の削除
SharePointにHTTP要求を送信しますのアクションを使って返却者を削除します。
⑰「アクションの追加」でSharePointの「SharePointにHTTP要求を送信します」を追加。
⑱サイトアドレスに「サイトのアドレス」、方法に「PATCH」を設定。
⑳URIは、『_api/web/lists/getbytitle('リスト名')/items(ID)』を入力。
※リスト名は、変数から選択。IDは、項目の更新から選択。
㉑ヘッダーに「T」を選択して、下記をコピーして貼り付ける。
"content-type": "application/json;odata=verbose",
"IF-MATCH": "*"
}
㉒ボディに下記をコピーして貼り付ける。
※List6は、備品リストのURLのLists/の後になります。
"__metadata": { "type": "SP.Data.List6ListItem"
},
"ReturnUserStringId": "",
"ReturnUserId": -1
}
step
8権限の設定
Listsのアプリで見た時に自分のものだけ表示するように権限を設定します。
所有者でフルコントロールが付いている人は、すべて見ることができます。
㉓「アクションの追加」でSharePointの「アイテムまたはファイルの共有を停止します」を追加。
㉔サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「貸出返却リーダー」を設定。
㉕IDに[項目が作成されたとき]の「ID」を設定。
㉖「アクションの追加」でSharePointの「アイテムまたはフォルダーへのアクセス権の付与」を追加。
㉗サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「貸出返却リーダー」を設定。
㉘IDに[項目が作成されたとき]の「ID」を設定。
㉙受信者に[項目が作成されたとき]の「登録者Email」を設定。
㉚ロールに「Can view」を設定。
step
9いいえの場合の項目の更新
返却処理は、備品リストのステータスを返却にして誰が返したか登録します。
この時、貸出者と貸出日時を空白にします。(貸出者は、nullで空白にならないので、次のアクションで削除します。)
㉛いいえの場合の「アクションの追加」でSharePointの「項目の更新」を追加。
㉜サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「備品リスト」を設定。
㉝IDに[複数の項目の取得]の「ID」、ステータスValue「返却」を設定。
㉞返却者Claimsに[項目が作成されたとき]の「登録者Email」、返却日時に[項目が作成されたとき]の「登録日時」を設定。
㉟貸出日時に式で『null』を入力。
※式は、動的なコンテンツの隣にあります。
step
10貸出者の削除
SharePointにHTTP要求を送信しますのアクションを使って貸出者を削除します。
㊱「アクションの追加」でSharePointの「SharePointにHTTP要求を送信します」を追加。
㊲サイトアドレスに「サイトのアドレス」、方法に「PATCH」を設定。
㊳URIは、『_api/web/lists/getbytitle('リスト名')/items(ID)』を入力。
※リスト名は、変数から選択。IDは、項目の更新2から選択。
㊴ヘッダーに「T」を選択して、下記をコピーして貼り付ける。
"content-type": "application/json;odata=verbose",
"IF-MATCH": "*"
}
㊵ボディに下記をコピーして貼り付ける。
※List6は、備品リストのURLのLists/の後になります。
"__metadata": { "type": "SP.Data.List6ListItem"
},
"LendUserStringId": "",
"LendUserId": -1
}
step
11項目の削除
貸した備品が残っているとリストが見づらくなるので、項目を削除します。
備品名が一致していて、貸出になっているものを探します。
㊶「アクションの追加」でSharePointの「複数の項目の取得」を追加。
㊷サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「貸出返却リーダー」を設定。
㊸「詳細オプションを表示する」→フィルタークエリに『Title eq '備品名' and OData__x51e6__x7406_ eq '貸出'』を設定。
※備品名は、[項目が作成されたとき]から選択します。
※ODataは、リストの設定の列の「処理」でURLの一番右にあるField=の後になります。半角のアンダースコアが2つ続いています。
step
12項目の削除
共有を停止してもいいですが、リストに残ったままだと沢山処理することになるので、削除します。
㊹「アクションの追加」でSharePointの「項目の削除」を追加。
㊺サイトアドレスに「サイトのアドレス」、リスト名に「貸出返却リーダー」を設定。
㊻IDに[複数の項目の取得2]の「ID」を設定。
※ループ処理でApply to eachが自動で追加になります。
保存を押したらフローの完成です。
全体のフローを確認します。
貸出返却リーダーのリストには、返却は残っていますが、貸出は削除しているので、もし貸出が必要であれば、フローの最初(項目が作成されたとき)の後に(項目の作成)を追加して別のリストに記録するようにします。
使い方
フローが完成したら、スマートフォンアプリのListsでテストします。
備品リストのステータスは、すべて返却にします。
Listsのアプリには、使っているものしか表示されないので、他の人にListsのURLを送って星をつけてお気に入りにしてもらいます。
Lists貸出処理
step
1貸出返却リーダーを開く
①「新規」をタッチ。
②備品名の「テキストを入力」をタッチ。
③「QRコードのマーク」をタッチ。
step
2スキャン
④QRコードをスキャン。
⑤備品名に「プロジェクター」が入る。
※スマホのスペックによっては、スキャンがうまく行かずに2回スキャンすることがあります。
step
3登録
⑥処理の「貸出」を選択。
⑦「チェック」をタッチ。
※自分が借りているものしか表示されませんが、他の人が同じ時間に貸出処理すると数分表示されます。
備品リストのステータスが貸出になり、貸出者、貸出し日時が記録されます。フローが実行されてから、記録されるまでは、数分かかります。
返却の処理は、貸出処理と同じですが、すべてのアイテムには、表示されません。
「返却」のビューで表示します。
ステータスが返却になり、返却者、返却日時が記録されます。
まとめ
今回は、SharePoint備品管理の作り方を説明しました。
分かりやすいようにQRコードを備品名にして説明しましたが、備品には管理番号がついているので、管理番号をQRコードにしてもいいと思います。(その場合は、ちょっと複雑になります。)
まずは、簡単に作ってみてカスタマイズしてみて下さい。
それからListsアプリは、バーコード(JANコード)も読むことができるので在庫管理やイベントのチケットの受付などにも使用することが可能です。
基本の作り方は、変わらないので挑戦してみて下さい。
そしてこの備品管理には、予約機能がありません。
また、どうしてもリストに追加後のフロー実行が数分かかってしまいます。
この点を解消するには、電子書籍のSharePoint Lists活用術にある貸出管理システムを作ってみて下さい。
リストをカレンダーにして予約が重複しない貸出管理システムができます。
Kindle Unlimitedを使ったことが無い方は、初回30日無料で読むことが出来ます。
>>「SharePoint Lists活用術」(初回30日無料)で読む
本の紹介
【貸出管理システムについて】
Outlookの予定表を使って備品を管理している人は、予約だけで終わっていませんか?有料の貸出管理システムを導入するほど貸出点数が多くない会社の備品などを社内で貸出と返却を管理することができます。QRコードを貸出品に貼ってスマートフォンで貸出返却処理をすることができます。メール通知機能がついているので、返却忘れ防止になります。